ビジネスパーソンの英語コミュニケーションのために

ETNのアプローチ

5.脳科学からみた記憶に効果的な学習習慣

学習は毎日続けること。

人間の脳の中では、寝ている間に記憶がきちんと整理整頓されます。それによって、学習した時点では理解できなかったことが、整理整頓されたおかげで後になって理解できるようになることがあります。この現象を、レミニセンス(追憶)現象と呼ぶそうです。学習したものが少し時間をおくと高度化するという現象ですが、これは、一日6時間まとめて学習するよりは、2時間ずつ三日にかけて学習した方が、途中に睡眠が入るため、その間に記憶が整理整頓され、能率的に習得できるということにもつながると池谷准教授はいいます。現在の脳科学の見解によれば、夢は脳の情報を整え、記憶を強化するために必須な過程であるとされているそうです。英語は少しずつでも毎日学習した方が効率的ということが、脳科学的にも立証されています。

毎日6時間以上寝ること。そして寝る前15分は記憶のゴールデンタイムです。

米ハーバード大学の精神医学者であるロバート・スティックゴールドは2000年の認知神経科学雑誌に、何か新しい知識や技法を身につけるためには、覚えたその日に6時間以上眠ることが欠かせないという研究結果を発表しました。一睡もせずに詰め込んだ記憶は、情報の貯蔵庫である側頭葉に刻み込まれることなく数日のうちに消えてしまうと指摘しています。更に、脳は睡眠の直前に取り込んだ情報を中心に処理するため、15分でもいいので、寝る直前に学習時間を確保するのが最も効率的と池谷准教授はいいます。医学博士で脳神経外科専門医の築山節氏は、夜の学習はざっと中途半端にやって、寝ている間の脳の整理力を活用し、睡眠時間を十分にとり、起きてから整理・熟考することが合理的だと指摘しています。築山氏は、夜は特に単語を覚えることなどは有効であるといいます*1。毎日寝る直前15分間に記憶したい重要なことを学習し、6時間以上寝る習慣をつけたいものです。

復習はまず1週間以内に1回目、その2週間後に2回目、そのまた1ヶ月後に3回目を行うと効果的。

人の脳の中の記憶の一時的な保管場所である「海馬」は、長くて1ヶ月程度しかその記憶を保管しないことが脳科学の研究で明らかにされています。海馬がその記憶を保管しているうちに、覚えたい情報をもう一度海馬に送信すれば、海馬はその情報を「必要」な情報と判断し、その後、長期的に記憶を保存する側頭葉に「これを記憶せよ」と指示し、側頭葉に保存されると池谷準教授は指摘しています。また、ドイツの心理学者エビングハウスの実験*2 (下記のエビングハウスの忘却曲線を参照)を考慮すると、「科学的にもっとも能率的な復習スケジュールは、まず1週間以内に一回目、次にこの復習から二週間後に二回目、そして最後に二回目の復習から一ヶ月後に三回目と、一回の学習と三回の復習を、少しずつ間隔を広くしながら二ヶ月かけて行えば、海馬はその情報を必要の情報を判断してくれる」といいます。

エビングハウスの忘却曲線

覚える対象に興味を持つと記憶力が増します。

これは既に説明しました。大人になって記憶力が落ちたと感じる一つの大きな原因は、何事に対しても興味が薄れていくことです。英語自体に「好奇心」と「探究心」を持つことができれば一番効果的だと思いますが、難しいという方は、興味がある題材を通して英語を学習することです。

学習初期の段階では、すぐに効果が現れないからといってすぐに諦めないこと。

学習の効果は、幾何級数的なカーブを描くことが脳科学の研究からわかっています。つまり、「学習の目標を1000とした場合、学習を始めた時点を1とすると、2、4、8、16、32、64と累積効果を示していく。この時点では1000までは程遠いと思うかもしれませんが、128、256、512とくればもう一息で1024になります。このような成長パターンを示すのが脳の性質。」と池谷準教授は指摘しています。このことから、物事の習得でもっとも大事なことは、(特に学習初期段階での)努力の継続であることがわかります。努力と成果は比例関係ではなく累乗関係にありますから、特に学習の初期の段階では、すぐに成果が現れないからといってすぐに諦めてはいけないということです。

一般的に、学習の量、例えば学習回数や学習時間と、それによる学習の効果は「S字」を描くといわれています。

下の図にあるように、学習初期の段階では、その効果はゆっくりとしか現れませんが(Slow beginning=ゆっくりとした開始)、通常、ある時突然速度を増して効果が出始めます(Steep acceleration=急激な加速)。しかし、ある時点に達してからは、いくら学習しても効果があまり現れなくなります(Plateau=あたまうち)。もう一方の図は、英語の学習時間とTOEIC®の点数の推移をイメージした図です。学習の方法を間違えなければ、基礎から積み上げて学習した場合、通常このような推移を示すと考えられます。一般的にいって、学習初期の段階では、通常いくら学習してもあまりTOEIC®の点数は上昇しません。しかしながら、500~600点に達したころから急激に上昇し始めることが多くの学習者に見られます。そして、800~900点を超えたくらいから学習してもあまり点数が上昇しなくなります。当然、点数の上昇の仕方や時期は、学習方法や個々の能力によってばらつきはあります。注意しなければならないことは、基礎をあまり固めなかった場合、急激に上昇したけれど650点程度で止まってしまったり、そもそも急激に上昇しない場合があるということです。

S-Shaped Learning Curve(学習曲線)

英語学習時間とTOEIC®点数の推移(イメージ)

脳科学からみた記憶に効果的な学習習慣

*1
築山節(2006)「脳が冴える15の習慣〜記憶・集中・思考力を高める」
*2
エビングハウスが、意味のない三つのアルファベットの羅列を、被験者にたくさん覚えさせて、その記憶がどのようなスピードで忘れられていくかを調べた実験
ページトップへ戻る
ETNのアプローチ
グローバルビジネスに必要な能力
コミュニケーション能力の学習目標
  • ことばの能力
  • 語彙
  • 文法
  • 発音
  • 流暢さ
  • 社会言語要素
  • ことば以外の能力
英語の効率的な学習アプローチ
  • 効率的な学習アプローチ
  • インプットとアウトプット
  • 基礎からの学習と定型表現
  • 理解 → 記憶 → 自動化
英語を習得できない理由
脳科学的に効果的な学習習慣
英語習得に必要な学習時間
英語学習のための脳科学入門
英語学習のための第二言語習得研究入門
英会話ETNトレーニング法
ビジネス英語定型表現byETN
英語の語源byETN
英語の発音byETN
ETN代表ブログ
facebook
LinkedIn
Google+
Twitter