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公開日:
2019.08.06
更新日:
2019.08.16

英語研修|法人担当者必読!7つの成功の秘訣と完全マニュアル

英語研修を成功させることは簡単なことではない。まずは英語研修の役割と位置づけを整理した後、成功に導くための準備フローと秘訣・注意点を詳細に解説する。

英語研修の「成功」の定義は、その「目的」によって異なる。英語研修の目的は会社によってまちまちだ。したがって、成功の定義も会社によって異なる。

英語研修を満足のいくものにするためには、その「目的」と「成功の定義」をとことん考え抜く必要がある。そしてそれらは、会社の現在の状況と今後の事業戦略および人事戦略と整合するものでなければならない。

1. 英語研修|役割と位置づけ

英語のクラス

英語は、自分自身で本気で「やろう」と思わない限り習得は不可能だ。だとしたら、そもそも会社が英語研修を実施して社員に英語を「やらせる」ことに意味はあるのだろうか?また、英語研修を実施することになった場合、まずは何を考えなければならないのだろうか?

1.1. 英語研修の役割

英語研修では英語を教える。当たり前のことだ。しかし、そこだけにフォーカスすると必ず失敗する。英語研修は、英語を教えること以外に下記の4つの役割がある。

企業の英語研修の4つの役割

1.1.1. 英語研修の役割① 英語学習を始めてもらう

役割-1

会社として英語研修を行い、ある程度強制的に英語の学習を始めてもらうことは、英語学習の第一段階として重要なことだ。なぜなら、人間はやり始めないと、やる気が出ないからだ。

東京大学大学院准教授で脳研究者の池谷裕二氏は、「やりはじめないと、やる気は出ません。」「脳の側坐核が活動するとやる気が出るが、側坐核は何かをやりはじめないと活動しない。」と指摘している。ちなみに、側坐核が活動するとドーパミンが分泌され、やる気や思考力がアップする。つまり、やる気に火をつけるには、とにかく英語学習を始めてもらうことだ。

1.1.2. 英語研修の役割② 英語学習に前向きになってもらう

役割-2

積極的に英語学習に取り組むようになってもらうことも、英語研修の重要な役割の一つだ。

仕事で必要となる英語を習得するには、ある程度長期間の学習が必要となる。研修に加え、毎日の自主学習も必要になってくる。したがって、会社から「やらされている」状態から抜け出せない限り、英語を習得することはできない。

実は、英語研修の受講者のほとんどの方は、「英語を習得しなければならない。」もしくは「英語を習得したい。」と思っている。しかし、学習を始められない、もしくは継続できないという方が多い。つまり、「動機」(motive)はあるが、それを実現するだけの「動機づけ」(motivation)が不足しているのだ。

「動機づけ」には「静的」なものと「動的」なものがある。前者は「そもそもなぜ英語を習得するのか。」に関わる比較的安定した動機づけで、後者は「最近やる気が出ない。」や、「英会話は面白いけど、文法はやる気が出ない。」というような不安定な動機づけだ。英語研修は、主に後者の「動的な動機づけ」を高める役割を担う。

「動的な動機づけ」を高める方策は、下記の通り、行動前・行動中・行動後の3つの段階に分けられる。

  1. 行動前:目標設定や実際の行動開始を支援し動機づけを高める。
  2. 行動中:興味を引く(かつ効果が高い)タスク(研修・自主学習内容)で動機づけを維持する。
  3. 行動後:成功体験や講師からのフィードバックで動機づけを更に高める。

1.1.3. 英語研修の役割③ 効率的な英語学習法を習得してもらう

役割-3

効率的な英語学習方法を受講者にお伝えすることも英語研修の重要な役割の一つだ。英語学習に前向きになったとしても、学習方法が間違っていたり、非効率であれば、思うような効果が出ず、結果的にモーティベーション(動機づけ)が低下してしまうからだ。

また、第二言語習得研究において、日本人の英語学習者は、モーティベーションは高いのに英語が上達しないという指摘がある。その理由として、第二言語習得研究の第一人者であるピッツバーグ大学言語学科教授の白井恭弘氏は、漠然と英語ができるようになりたいとは思っているが、学習行動に結びついていないからだと指摘している。また、その理由の一つとして、どうやって効果的な学習行動に結びつけたらいいのか、そのやり方がわからないからだと指摘している。

高いモーティベーションを正しい学習行動に導くことも、英語研修の重要な役割の一つだ。

1.1.4. 英語研修の役割④ 自走できるまで伴走する

役割-4

高いモーティベーション(「静的な動機づけ」)を持ち、正しい学習法を身に付ければ英語は独学で習得できる。そして、学習を習慣化できれば、不安定な「動的な動機づけ」も自分でコントロールできるようになる。しかし、学習を習慣化するにはある程度の時間が必要となる。習慣化できるまで伴走することが英語研修の重要な役割の一つなのだ。

英語を教えることだけに特化した英語研修では、研修が終了した途端に英語学習をやめてしまう受講者も少なくない。英語習得は長期的なプロジェクトだ。したがって、英語研修が終了した後も継続的に学習して頂かなければ、そもそも英語研修を行う意味は全くないと言っていい。

英語研修の4つの役割をご説明してきた。まとめると、英語研修は、① 英語学習のきっかけを作ること、② 自ら積極的に英語学習に取り組む姿勢を醸成すること、③ 効率的で正しい学習方法を身につけること、そして④ 学習を習慣化すること、これらの役割を担っているのだ。

1.2. 英語研修の位置付け

企業の英語研修の位置付け

会社の戦略に合致する英語人材を育てていくためには、英語研修を人事戦略(人事制度や人材配置など)や事業戦略と連携させることが不可欠だ。なぜなら、社員に英語学習にやる気を出してもらうには、「報酬」と「環境」が重要だからだ。

報酬はやる気を誘引する(第二言語習得研究では「道具的動機(instrumental motive)」、心理学では「外発的動機(extrinsic motive)」という)。人事制度上の報酬は色々な形がある。資格給や報奨金などの手当ての支払い、昇格や社費留学の条件に設定、英語学習費用の支援などだ。

一方で、やらざると得ない状況に追い込まれないとやる気が出ない方も多い。したがって、人材配置で英語が必要な環境に置くことも重要だ。英語が必要な部署への異動、海外への赴任や長期出張などだ。

報酬という「あめ」と、環境という「ムチ」を与えたうえで、英語研修という、始める「きっかけ」を提供することができれば、その研修は成功する可能性が非常に高くなる。しかし、そのためには、人事戦略だけではなく、事業戦略などの会社全体の方向性も考慮しなければならないことは言うまでもない。

2. 英語研修完全準備マニュアル|7ステップの準備フロー

英語研修を成功させるためには、周到な準備が不可欠だ。まず、何をもって成功とするのか。成功の定義を決める必要がある。そのためには英語研修を行う理由や目的なども整理しなければならない。

企業の英語研修の準備フロー

英語研修を行うための準備は、上図のように7ステップある。それぞれの方法と成功の秘訣・注意点を紹介する。

3. 英語研修完全準備マニュアル① 理由を整理する

ステップ-01

「なぜ、英語研修を行う必要があるのか?」まずは「理由」を整理する。大きく、下記の4つに分けられるだろう。

  • 海外ビジネスの展開・拡大・維持
  • 外資系企業との統合
  • 外資系企業内での意思疎通
  • インバウンド外国人客の増加

更に、詳しい理由を整理する。例えば、下記のような理由が考えられるだろう。

① アメリカで事業を展開することになり担当部署と駐在所を作ることになった。まずは、部署の人員と駐在員の英語力を上げなければならないが、今後海外展開を加速していくので全社的な英語力の底上げも必要となる。

② 外資系企業に買収され、経営陣とのやりとりが英語になった。社内に外国人の一般社員も増えてきたので、全社的にも英語が必要となった。メーカーでエンジニアが多く、英語が苦手な社員が多い。

③ 海外向けのアプリを開発するために外国人エンジニアを採用したので、社内で英語でのやりとりが必要になった。海外の会社との事業提携も考えている。

④ 今までも海外で事業を広く展開していたが、それを一気に加速させるために外資系企業を買収した。グローバルな競争を勝ち抜くために、更に海外でのM&Aを進める予定。真のグローバル化のために3年後を目処に英語を公用語にする。

⑤ 外資系企業において新卒社員の英語力底上げが必要になった。TOEIC (L/R) の点数は高いが、スピーキングが弱い社員が多い。

英語研修を行う理由により目的が変わってくるので、まずは可能な限り詳細に書き出して整理してみる。

4. 英語研修完全準備マニュアル② 目的を決定する

ステップ-02

理由を整理すると目的が明確になる。例えば、上記の①の理由(アメリカで事業展開)の場合は下記のような目的になるだろう。

  • アメリカ駐在員:高度な英語力を持つ、即戦力となる英語人材の育成
  • 担当部署人員:それほど高度な英語力は必要ないが、即戦力となる英語人材の育成
  • 上記以外の社員:基礎的英語力の底上げ

それぞれの目的によって英語研修の内容は異なる。詳細は下記でご説明するが、例えば、上記の「アメリカ駐在員」の場合は、現時点である程度英語基礎力がある方の実践力強化がメインとなる。「上記以外の社員」の場合は、英語学習の習慣作りがメインとなる。

なお、TOEICの点数を上げることは目的にはならない。TOEICはあくまで英語力を測る指標の一つでしかないので注意して頂きたい。

5. 英語研修完全準備マニュアル③ 重要性と時間を考慮する

ステップ-03

目的が明確になってくると、いつまでにどのような英語人材が必要なのか明確になってくる。例えば、上記②の理由(外資系企業の買収)の場合の目的を整理すると、下記のように、それぞれの重要性と時間的な制約も明確になる。

  • 外国人経営陣/社員とのやりとりが必要な、英語がある程度できる社員の英語力強化:重要・時間的余裕なし。
  • 外国人経営陣/社員とのやりとりが必要な、英語が苦手な社員の英語力強化(エンジニア中心):最重要・時間的余裕なし。
  • 将来的に英語が必要となる社員(新入社員含む):重要・時間的余裕あり。

時間的余裕がある場合とない場合とでは、研修の内容が根本的に変わってくる。余裕がある場合は、基礎力強化から始めて英語脳を構築していくことを重視し(ボトムアップ学習)、余裕がない場合は、仕事でよく使用される英語表現を覚えていくことを重視する(トップダウン学習)。

ボトムアップ学習は、即効性はないが、中・長期的に高度な英語力を育てていく学習法。トップダウン学習は、即効性はあるが、高度な英語力を育てていくことには向かない学習法だ。通常はそれら両方をバランスよく行うことになるが、時間的な制約によってそのバランスを変えることになる。

なお、仕事で使える英語を習得するには、どうしてもある程度の時間が必要になることを再認識して頂きたい。例えば、一部上場企業の新入社員のTOEICの平均は540点程度だが、仕事で使えるある程度高度な英語にするには、1年半〜2年間の継続的な学習が必要になる。英語人材はすぐには育たない。会社の方向性を見極めながら、中・長期的な戦略を立てるべきだ。

英語の習得時間の詳細の分析については「英語習得には最低3000時間必要!達成するための11のコツと習慣」を参考にして頂きたい。

6. 英語研修完全準備マニュアル④ 対象を考える

ステップ-04

英語研修の対象(受講者)を考える。その際は、今まで整理してきた「理由」「目的」「重要性」「時間」を基に、例えば下記の項目を考慮しつつ対象者を絞り込んでいく。

  • 英語の必要性:高・中・低
  • 現状英語力:高・中・低
  • 国際的志向性:高・中・低
  • 新入社員・若手・中堅・ベテラン
  • 全員・選抜・希望者
  • 人数

なお、「国際的志向性」とは、国際的なことに関する興味の度合いのことをいう。この国際的志向性が高い人ほど、英語学習に対するモーティベーション(第二言語習得研究では「統合的動機(integrative motive)」、心理学では「内発的動機(intrinsic motive)」という)が高く、外国語学習に成功する可能性が高いと言われている。

例えば、上記の③の理由(外国人エンジニアの採用)の場合は下記のようなことが考えられる。

  • 外国人エンジニアと仕事上密にコミュニケーションをとる必要がある中堅社員を、現状の英語力・国際的志向性を考慮し数名選抜(最重要・時間余裕なし。)
  • 海外との事業提携に関係する可能性が高い若手及び中堅社員を、現状の英語力・国際的志向性を考慮し数十名選抜(重要・時間余裕あり。)
  • 上記以外の若手中心の希望者から選抜(重要・時間余裕あり。)

研修対象(受講者)の人数については、研修予算や研修費の負担(全額もしくは一部会社負担)などの金銭面、プライベート・レッスン/グループ研修などの形態も考慮する必要がある。

7. 英語研修完全準備マニュアル⑤ 成功の定義を定める

ステップ-05

次に、何をもって成功とするのか、つまり成功の定義を決める。例えば、上記の④の理由(3年後を目処に英語を公用語化)の場合の成功の定義は下記が考えられる。

  • 中堅社員向け英語研修:買収した外資系企業とのやりとりが必要な社員の英語力向上が目的(最重要・時間的余裕なし)
    成功の定義:仕事上の意思疎通ができるようにすることを成功とする
  • 最前線社員向け英語研修:既に業務で英語を使用している社員の英語力ブラッシュ・アップが目的(重要・時間的余裕あり)
    成功の定義:仕事をより円滑に進めるための、より高度な英語コミュニケーション力を獲得することを成功とする
  • 新入社員向け英語研修:3年後を目処に高度な英語人材へと育成することが目的(重要・時間的余裕あり)
    成功の定義:正しい方法で英語学習を習慣化させることを成功とする

成功の定義を定めなければ、その英語研修が成功したのか、効果があったのかどうかの判定ができない。ご担当者間で十分に検討し、受講者を含めて社内のコンセンサスをとっておきたい。

8. 英語研修完全準備マニュアル⑥ 効果の測定方法を決める

ステップ-06

成功の定義を定めたらその測定方法を検討する。研修の効果は一つの測定方法だけに頼らず、複数の方法で総合的に判断すべきだ。客観的な数値が出るものと、数値で測れないものを組み合わせることをお勧めする。

例えば、上記⑤の理由(TOEIC (L/R) の点数は高いがスピーキングが弱い新卒社員)の場合の、研修の目的と成功の定義、効果の測定方法は下記が考えられる。

  • 目的:TOEIC(L/R)の点数は高い新卒社員の総合的な英語コミュニケーション力の強化(最重要:時間的余裕は中程度)/li>
  • 成功の定義
    ① スピーキング力とライティング力の向上
    ② 高度な英語力を身につけるための英語学習の習慣化
  • 効果の測定方法
    ① スピーキング力(およびライティング力)を測定できる英語検定試験:「GTEC」「TOEIC S/W」「CASEC」「Versant」などが候補となる。客観的な数値で測定する。
    ② 英語研修の出席率と研修内テスト結果:英語学習の習慣化に寄与しているかなど、上記で説明した研修の4つの役割を果たしているかどうかを統計的な数値で測定する。
    ③ 受講者アンケート:研修折り返し時点および終了時のアンケートにより、研修のカリキュラム・教材・講師が適切であったかどうかを、受講者からのフィードバックで判断する。
    ④ 受講者インタビュー:担当講師が受講者のインタビューを一人一人英語で行い(研修開始前と終了後の2回)、オーラル・コミュニケーション力の伸びを測定する。

英語研修の効果は、その「目的」および「成功の定義」と整合する方法で測定しなければならない。それらが整合していないと、一見効果があったように思えた英語研修でも、実は目的を全く達成できていなかったということが起こってしまう。

例えば、日本企業は、どのような目的であれ、TOEIC (L/R) の点数を英語研修の効果の判断基準にすることが多い。しかしながら、その場合は以下のような弊害が生じやすい。

  1. 英語研修請負業者:本来の目的を重視せず、TOEIC (L/R) 対策の研修内容になりがち。
  2. 受講者:TOEIC (L/R) の点数が目的となり、仕事で使えないTOEIC高得点者になりがち。

TOEIC (L/R) は「聞く・読む」能力しか判定できない。したがって、TOEIC (L/R) の点数が高くても「話せない」ため仕事では全く使えないという事例が非常に多いのだ。本来の目的が忘れ去られ、TOEIC (L/R) の点数自体が目的になってしまうとこのようになってしまう。

9. 英語研修完全準備マニュアル⑦ 形態を選択する

ステップ-07

英語研修の具体的な形態について、4つの観点から注意点を紹介する。上記で検討してきた、英語研修のそもそもの目的を達成することを一番の念頭に置いて、それぞれ決めて頂きたい。

9.1. グループ研修 vs. プライベート・レッスン

グループ研修とプライベート・レッスンは、それぞれ長所と短所がある。また、社風や受講者の性格も考慮した方が成功する可能性が高くなる。また、研修にかけられる予算も考慮しなければならない。

一般的に、グループ研修とプライベート・レッスンの長所・短所は下記のようにまとめることができる。

グループ研修 プライベート・レッスン
長所 • 他の受講者からの刺激によりモーティベーションを維持しやすい。
• 教え合う環境を作ることにより学習効率性を向上できる。
• チーム・ビルディングに有効。
• 一人当たりの研修費用が安い。
• 各受講者にオーダーメードのレッスンを提供できる。
• 場所(オンライン含む)・曜日・時間など自由に設定可能。変更もしやすいため欠席が少なくなる傾向。
• 発話の機会が多くなる。
• 研修ご担当者の負担が少ない。
短所 • 一人一人のニーズに対応しにくい。
• 各受講者の発話の機会が少なくなる傾向(ペア・ワーク等で対応可能)
• スケジュールを固定するため、欠席者が出る可能性が高くなる。
• 社内の研修場所の確保やグループ分け、備品の準備など、研修ご担当者への負担が大きい。
• 一人当たりの費用が高くなりがち。
• グループ研修に比べて、レッスンへのモーティベーションが低下しやすい。

社風や受講者の性格により、グループがよい場合とプライベートがよい場合がある。例えば、自分の意見を自由に言える風通しのよい社風の会社や、英語力のレベルに関わらず積極的に英語を話そうとする方が多い場合は、教え合う環境や、刺激し合う環境も作りやすいのでグループ研修をお勧めする。一方で、人前で英語を話すことに抵抗を感じる方の場合は、プライベート・レッスンの方が効果が出やすい。

また、いつも一緒に働いている部署のメンバーでグループ研修を行い、チーム・ビルディングにも効果があった事例もある。多少英語力に差があったのだが、気心の知れたグループで、お互いに刺激し合い、教えあう環境を作ることができ、かつ、チームの結束を強めることができた成功例の一つだ。

9.2. 講師派遣 vs. 通学 vs. オンライン

講師に会社まで来てもらう講師派遣、社員の皆さまに研修・レッスン場所へ行ってもらう通学型、そして、Skypeなどのオンライン型の3つから選択することになる。

受講者数が多い場合は、講師派遣のグループ研修をお勧めする。一人当たりの費用が一番安価で、会社の研修目的に沿った運営を実現しやすく、それに整合する効果測定もやりやすくなる。一方で、研修ご担当者への負担が一番大きくなる。

通学やオンラインの場合は、基本プライベート・レッスンなので、一人当たりの費用は高めになってしまう。また、受講者の自主性に頼るところが大きくなるので、会社の目的に沿った研修・レッスンは実現しにくい。結果、会社が期待した効果が得られない可能性が高くなる。

プライベート・レッスンでも、受講者数がある程度の規模になる場合、会社の意向・目的に沿った運営をすることも可能だ。ただし、グループ研修に比べて一人当たりの費用が高くなってしまう。

9.3. 就業時間内 vs. 就業時間外

通常は、終業後に研修・レッスンを行う。しかしながら、会社からある程度強制的に研修を受けさせる場合、就業時間内に行うことも少なくない。終業後に行うと残業代の問題が出てくる可能性があるからだ。会社によっては、研修の宿題すら残業代の対象となる可能性がある。

ただし、強制的に英語研修を受けさせざると得ない場合というのは、外資系企業に買収された会社など、英語ができないと業務が滞るという特殊な場合に限られる。通常、英語研修を終業後に行う場合は、会社側で受講者を選定した上で、最終的に社員の自主性を尊重すれば問題にはならないだろう。

9.4. 費用:全額会社負担 vs. 一部会社負担

一般的に、仕事で英語が必要となる場合は、業務の一環と捉え、費用は全額会社負担とする場合が多い。一方で、現状英語は必要ないが、業務の幅を広げるために英語学習を推奨している場合は、福利厚生の一環と捉え、一部会社負担とする場合が多い。

また、会社の費用負担の割合と、その英語研修・レッスンへの関与の割合を合わせることで費用対効果を高めることができる。例えば、どのような英語・英会話研修・レッスンでも、決められた金額以内であれば会社が全額負担する場合と、会社が全額負担するが、会社の目的に沿った研修を受けさせ、効果測定もきちんと行う場合とでは、会社としての費用対効果に雲泥の差が出てくる。

なお、会社の関与の割合が非常に高い研修・レッスンの費用を受講者に負担させることは、受講者の不満の種になりやすく、モーティベーションを下げることにつながるので注意が必要だ。

祝福

10. 英語研修|まとめ

英語研修を成功させるための準備フローと秘訣・注意点をご説明してきたが、英語研修を成功させることは簡単なことではないことが理解できたと思う。これから研修を準備されるご担当者の一助になれば幸いだ。下記に重要な点をまとめておく。

  • 英語研修の役割は、英語を教えることに加えて、① 英語学習を始めてもらう、② 英語学習に前向きになってもらう、③ 効率的な英語学習法を習得してもらう、そして④ 自走できるまで伴走する、の4つある。
  • 会社の戦略に合致する英語人材を育てていくためには、英語研修を人事戦略・事業戦略と連携させることが不可欠だ。報酬という「あめ」と、環境という「ムチ」を与え、英語研修という、始める「きっかけ」を提供すれば、研修の成功する可能性が高くなる。
  • また、英語研修を成功させるためには、研修を行う理由を整理し、その目的を決定することから研修の形態を決めるところまで全部で7つのステップがある。特に、研修の「目的」と「成功」の定義をとことん考え抜くことが一番重要だ。
  • 研修の効果の測定については、TOEIC一辺倒ではダメだ。目的と整合する測定方法を複数採用し、総合的に判断しよう。

なお、法人英語研修の事例を紹介したコラムも書いているのでそちらも参考にして頂きたい。まずは、「法人英語研修の成功事例|グローバル上場企業の中枢部門は本質を重視!」からお読み頂くとよいだろう。

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執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
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